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クレジットの機能、性質とは?

多重債務者のみなさんが苦しんでいるクレジットカード払いについて、その機能や性質を検討していきます。

苦しんでいる相手、原因が何なのか確認してみましょう。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.8

 

クレジット契約の法的性質

クレジット契約は、与信(信用供与)契約の性質を持ちます。

法的には、ショッピングの場合は立替払い契約か債権譲渡契約となるでしょう。

カードキャッシングの場合は、法的性質は、金銭消費貸借契約となります。

カード利用者が、現金が必要なときにはキャッシングが利用されますが、多くの人は、そのような場面にならず、取引自体はショッピングの方が圧倒的に多いそうです。

 

クレジットの機能

クレジットを家計という点から見ると、2つの機能があります。

クレジットの機能は、家計の平準化と決済の2つです。

 

クレジットカードの利用の大部分は、一括払いの利用とされています。

これは、ほとんどが、現金に代わる決済手段としての機能が使われているものです。

家計支出の中で、現金払いができるものの、利便性などからクレジットカードが利用されているというものです。

他にも、水道光熱費、電話代など、ほぼ毎月支払いが発生する費用の支払をクレジットカードで一括払いで支払うのは、問題ありません。

もともと、銀行口座振り替えや現金など、他の方法をクレジットカード払いにしただけです。これが決済手段としての機能です。

 

家計の平準化は、不足を一時的に補うものです。

個人の家計では、収入を簡単に増やすことができず、予定外の支出が発生した場合、家計の収支としては、不足が生じます。

このような不足分をクレジットカードで補って平準化するという機能もあります。

平準化は、毎月の支払額をならしてしまい、超える分を、翌月に繰り越していくという方法です。

翌月の家計収支も赤字の場合には、そこでも不足分が発生します。

次月には前月の債務も加算されることになります。

これを繰り返すと債務はどんどん増えます。利息も必要です。

決済手段としての機能を超え、平準化を目的として利用する場合、毎月の家計収支をしっかり管理できないと、多重債務に陥ります。

 

一時的な資金不足を平準化し、短い間にリカバリーできるのであれば、問題ありません。

 

クレジットとローン

クレジットの与信については、商品を対象とした場合をクレジット、ショッピングといい、金銭を対象とした与信をローン、キャッシングということもあります。

一般的には、ショッピングとキャッシングでは、異なる利率、遅延損害金率が設定されています。

ショッピングよりキャッシングの方が利率が高い設定が通常です。

 

クレジット業務の主体

クレジットは広く使われる支払方法です。

中には、販売店が自社割賦を行っていることもあります。

現在では、販売店も、クレジット会社などの第三者機関が提供するクレジットを使った方が現金化も早く、リスクも少ないために、自社割賦をすることは減っています。

ただ、もともとは自社割賦から始まっていた手法です。

百貨店、デパートなど大量の顧客がいる大手小売業では、子会社や関連会社にクレジット会社を持ち、提携クレジットカードを発行しています。

販売と結びつけた方が、カードの囲い込みができるものです。

日本で最初にクレジットという言葉を使ったのは、丸井だそうです。

1960年、当時は月賦百貨店だったそうです。

クレジットプレートという紙製のものを最初は利用していたとか。

丸井は、顧客に対し、エポスカードを展開しています。

 

 

クレジット会社の利益

クレジット会社の利益は、手数料や年会費にあります。

手数料については、消費者と加盟店から徴収するものですが、最近のクレジットカード利用は一回払いが多くなっており、年会費無料のものも増えています。

1回払ではなく、分割払いの場合、クレジット会社は加盟店からの手数料のほか、消費者からの分割手数料も得られることになります。

消費者からの手数料よりは、加盟店からの手数料やリボ払いの利息などから成り立っているといえるでしょう。

 

 

 

クレディセゾンによるリボ払い展開

このリボ払いを展開し始めたのは、クレディセゾンだと言われます。

西武百貨店が、月賦百貨店の緑屋を買収。

現在のクレディセゾンにつながる西武クレジットが、自社カードにリボルビング機能を付けました。

 

リボルビングは、上記のとおり、家計支出の平準化機能を持ちます。

ただ、利用者からすると、リボルビングは払いには支払い終了の概念がなく、抜け出しにくいです。

新たに使わなければ、債務は減っていくのですが、使っていても一定額の支払で済むため、感覚が麻痺していくのです。

毎月の家計収支を見て、プラス状態に持ち込まないと、後々苦しくなるのです。

このリボ払いは、多くのカード会社に利益をもたらし、現在、ほとんどのカードでリボ払いを勧める罠が含まれています。

 

信用以外の決済方法へ

個人の信用、クレジットを使っての決済方法から、決済の機能としては、いろいろな方法が生み出されるに至りました。

個人の信用によって後払いの決済方法以外に、先にお金を払い込むプリペイド型の方法、銀行の預金口座と連動させて預金の範囲内で決済するデビットカード型の方法が生まれています。

キャッシュレス決済として、アプリを利用した決済方法も広まっていますが、理論的には、チャージするなどのプリペイドと同一のもの、預金連動のもの、カード提携のクレジットのもの、と各種の性質が使われています。

債務整理や自己破産などで、信用情報機関にのる、いわゆるブラック状態となった場合には、クレジットに関する信用がないということになります。

しかし、そのような場合でも、決済機能については多様化しており、プリペイド型やデビット型を使うことで、それほど不便ではな時代となっているのです。

 

 

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