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よくある質問

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固定資産税に不服がある場合の手続きは?

不動産を所有している人の中には、毎年の固定資産税に悩んでいる人もいるでしょう。

不動産投資では、このような固定資産税も重要な要素になってきます。

また、多重債務後の個人再生の画面でも、固定資産税をどう支払うか予算を組む必要があります。

固定資産税は市町村税です。この税金は、税額が過大になっているなど課税が誤っていることも多いと言われています。

そのような場合、どのように争うことができるのか、その手続でどのような点が問題になるのか争われた裁判例があります。

最高裁令和元年7月16日第三小法廷判決の紹介です。

 

 

事案の概要

納税者(原告・控訴人・上告人)が鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付き9階建事務所(平成元年10月建築)を所有していました。

東京都知事が、本件建物について、平成24年度の価格を6億8802万8700円と決定。固定資産課税台帳にも登録。

納税者は、平成24年4月4日、東京都固定資産評価審査委員会に対し、経年減点補正率の適用に誤りがあると主張、地方税法(平成26年法律69号による改正前)432条1項による審査申出。

その際には、本件建物の再建築費評点数を算出する基礎とされた主体構造部の鉄筋およびコンクリートの使用量に誤りがあるとの主張はしませんでした。

委員会は、平成27年2月24日、申出を棄却決定。

 

納税者は、東京都に対し、本件決定のうち価格5億8711万5400円を超える部分の取消しを求め提訴。

 

固定資産評価額の算出

固定資産税の算出根拠となる評価方法には基準があります。

本件建物の平成24年度の評価に適用される固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成26年総務省告示第217号による改正前のもの。は、次のとおりでした。


ア 家屋の評価は、木造家屋及び木造家屋以外の家屋の区分に従い、各個の家屋について評点数を付設し、当該評点数を評点1点当たりの価額に乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとし、各個の家屋の評点数は、当該家屋の再建築費評点数を基礎とし、これに家屋の損耗の状況による減点補正率を乗じて付設するものとする。


イ 非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は、通常の維持管理を行うものとした場合において、その年数の経過に応じて通常生ずる減価を基礎として定められた経過年数に応ずる減点補正率によるものとする。


ウ 在来分の非木造家屋(当該年度において新たに課税の対象となる非木造家屋以外の非木造家屋をいう。)に係る再建築費評点数は、原則として、基準年度の前年度における再建築費評点数に再建築費評点補正率を乗じて算出するものとする。


(2) 在来分の非木造家屋である本件建物の再建築費評点数は、本件建物の建築当初の評価に適用される固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成2年自治省告示第203号による改正前のもの)により算出される再建築費評点数について、その後の基準年度ごとに再建築費評点補正率による補正をすることにより算出されることとなる。同固定資産評価基準は、鉄骨、鉄筋及びコンクリートの使用量が明確な建物の主体構造部の再建築費評点数につき、単位当たりの各標準評点数にそれぞれ実際の使用量を乗じて算出するものとする旨を定める(別表第12)。

 

固定資産税評価額の評価に対する不服申立て手続き

固定資産税は、固定資産課税台帳に登録された価格によって決まります。

この価格に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができます。

地方税法434条では、固定資産課税台帳に登録された価格に対して不服がある場合、処分に対する取消しの訴えをすることは認めていません。

裁決の取消しの訴えのみが許されています。

手続きとして、原処分に不服の場合でも、まず審査請求をし、その裁決の取消しを求めて訴訟を提起するという流れになります。

まず審査請求が必要なのです。このような手続きは他の行政手続きでも採用されているものがあります。

 

 

高等裁判所までの判断

第1審の東京地裁平成29.3.17判決は、原告の請求を棄却。

原告は、控訴。

その際、本件建物の再建築費評点数の算出の基礎とされた主体構造部の鉄筋およびコンクリートの使用量に誤りがある旨の主張を追加。

これに伴い本件決定のうち価格5億4727万8800円を超える部分の取消しを求めると請求の趣旨を変更。


控訴審である東京高等裁判所平成29.12.14判決は、本件請求の趣旨変更に係る部分を却下、その余の部分については請求を棄却。

固定資産課税台帳に登録された価格を不服として固定資産評価審査委員会に審査の申出をした者が、当該申出に対する同委員会の決定の取消訴訟において、同委員会による審査の際に主張しなかった事由を主張することは、同事由について審査を経ていない以上、そのことに正当な理由(行政事件訴訟法8条2項3号)があると認められる特別の事情がない限り、地方税法434条2項、行政事件訴訟法8条1項ただし書の趣旨に反し、許されないものと解するのが相当であるとしました。

本件では、本件主張追加に係る事由について本件委員会の審査決定を経ないことにつき正当な理由があるとは認められないから、上告人の訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分は、審査請求前置の要件を充足せず、不適法であるとしました。
訴えのうちその余の部分についてみると、本件登録価格は、平成24年度評価基準によって決定される価格を上回るものではないと認められ、本件登録価格の決定を違法ということはできないから、本件登録価格について不服があるとしてされた審査の申出を棄却する旨の本件決定は適法であるとしたものです。

原告は、上告受理を申し立てました。

 

争点

原告は、固定資産評価審査委員会の審査で主張しなかった事由を、後の取消訴訟において主張することができるかが問題となりました。

評価に不服があっても、いきなり裁判をすることはできず、審査請求を先行させています。

それなのに、審査請求で主張しなかった事由を裁判で主張できるとしたら、審査請求を先にさせる意味がある?と問題視されたわけです。

 

 

最高裁判所の判断

破棄差戻し。

固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合には、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができ(地方税法432条1項)、同委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税の納税者は、同委員会に対する審査の申出及び審査決定の取消訴訟によることによってのみ争うことができる(同法434条2項)とされています。

上記審査は、納税者の権利を保護するとともに、固定資産税の賦課に係る行政の適正な運営の確保を図る趣旨に出るものであり、同委員会が、職権により、審査に必要な資料の収集等をすることができるものとされていることをも併せ考えると、同委員会は、審査申出人の主張しない事由についても審査の対象とすることができると解すべきと指摘。


そうすると、同委員会による審査の対象は、登録価格の適否を判断するのに必要な事項全般に及ぶというべきであり、審査決定の取消訴訟においては、同委員会による価格の認定の適否が問題となるのであって、当該価格の認定の違法性を基礎付ける具体的な主張は、単なる攻撃防御方法にすぎないから、審査申出人が審査の際に主張しなかった違法事由を同訴訟において主張することが、地方税法434条2項等の趣旨に反するものであるとはいえないとしました。


以上によれば、審査申出人は、固定資産評価審査委員会による審査の際に主張しなかった事由であっても、審査決定の取消訴訟において、その違法性を基礎付ける事由として、これを主張することが許されるというべきであるとしました。

 

原審は、本件訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下するとともに、本件主張追加に係る事由によって、本件登録価格が平成24年度評価基準により決定される本件建物の価格を上回ることとならないか否かについて審理判断することなく本件決定を適法としたものであり、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとしました。

原判決は破棄を免れないと結論づけています。


審査請求は職権主義

 

最高裁も触れているように、審査請求手続においては職権主義が採用されています。

申立人の主張しない事由についても審査することができます。

また、取消訴訟の訴訟物は取消事由ごとではなく、処分の違法性一般とされます。

このような点と、委員会の審査が、納税者の権利を保護するとともに、固定資産税の賦課に係る行政の適正な運営の確保を図るという趣旨にあることからすると、審査の対象は、登録価格が適正かどうかを判断するのに必要な事項全般に及ぶはずです。

申立人が何を主張していたかどうかというより、適正かどうかが問題なのです。

このような点から、審査で主張されていなかった事項でも裁判で主張することはできるとされたものです。

 

 

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