支払督促後の消滅時効期間について5年とした裁判例を解説

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Q.支払督促後の消滅時効期間は?

簡易裁判所の仮執行宣言付き支払督促の後、消滅時効期間が10年になるのか、5年なのかは争いがあります。

今回は、5年とした裁判例を紹介します。

宮崎簡易裁判所令和4年12月13日判決です。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.8.4

 

支払督促の後の裁判

借金の支払が遅れ、期限の利益喪失。

その後、しんわが仮執行宣言付き支払督促の申立てを行い、平成18年10月に確定。

支払督促後、借主は返済を継続。

しかし、平成27年12月に5万円の返済を最後に支払を止めていました。

令和4年2月にしんわが訴訟提起

最後の弁済からの期間を見ると、5年以上は経過。

しかし、10年は経過していないというタイミング。

では、時効期間はどうだったのでしょうか。

簡易裁判所の支払督促で、時効期間が10年に延びるかどうかという論点です。

この論点については、裁判例は分かれています。

 

支払督促後の消滅時効期間

10年に延びるという根拠は、民法174条の2。

裁判所の判決が出されると、時効期間は10年に延びます。

そこで、支払督促を、判決と同じように考えていいのかが問題となるのです。

支払督促には、既判力はありません。

一方で、民訴法396条では「確定判決と同一の効力」という文言が使われています。

支払督促で時効期間が10年に延びていれば、最終弁済が時効中断、その後10年は過ぎていないことから、訴訟提起に対して、消滅時効の主張は認められないことになります。

 

裁判所は10年に延長しないと判断

裁判所は支払督促では10年には延びないとして請求を棄却しました。

確定支払督促には確定判決と同一の効力があり、その結果、・・・本件貸金債権は、本件仮執行宣言付支払督促の確定により、消滅時効期間が従前の商行為債権の5年から、新たに10年間の時効期間が進行を開始するとも解されるが、そもそも、本件仮執行宣言付支払督促には、その確定後も、確定判決に認められる既判力は認められないことから、被告は、本件貸金債権にかかる裁判において、本件仮執行宣言付支払督促の確定の先後を問わず生じた権利を主張して、本件貸金債権の請求の当否を争うことができるというべきである。

 

確定した本件仮執行宣言付支払督促には既判力が認められないことから、本件訴訟において、被告に生じた本件貸金債権にかかる権利の主張を阻害する結果となる旧民法174条の2第1項による消滅時効期間の10年延長を認めないことが相当と解され、この点において民事訴訟法396条の「確定支払督促には確定判決と同一の効力を有する」の解釈は制限されると解する。

このような内容で、消滅時効の主張を認めています

 

もちろん、裁判例が分かれている論点ではありますので、この主張が必ず認められるわけではありませんが、支払督促により10年延長という請求がされている場合には、時効援用の根拠として主張してみる価値はあるでしょう。


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